抄録
アルカリ土類金属のジルコン酸塩は高い融点を持つため,高温材料として利用されている.その中でもジルコン酸ストロンチウムは物理的,化学的に高い安定性を示す.原料粉体のナノ粒子化は焼結温度の低下に有効である.クエン酸錯体重合法は,低温でナノ粒子の合成が可能な方法として知られている.そこで本研究では同手法を用いてジルコン酸ストロンチウムのナノ粒子の合成を行なった.熱処理の温度と保持時間が粒径,結晶相,残炭成分に与える影響について考察した.ジルコン酸ストロンチウムのナノ粒子は600℃の熱処理によって得られた.ただし,わずかな炭酸塩と酸化ジルコニウムが熱処理後もいまだに残っていた.