抄録
チタン酸バリウム製法の一つであるシュウ酸塩法を新たに発展させて、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウム用の新規前駆体(ナノシュウ酸塩)を合成した。この新規前駆体(ナノシュウ酸塩)はXRD測定において無定形であり、FT-IR測定において1050cm-1及び1130cm-1にピークを有するものであった。通常のシュウ酸塩法により得られたシュウ酸バリウムチタニル4水和物(BaTiO(C2O4)2・4H2O)を620℃、1時間、空気中で熱分解した場合、中間体(BaOx(CO3)1-xTiO2)が残留し、チタン酸バリウムが粒子として形成不十分であった。それに対して、新規前駆体(ナノシュウ酸塩)を用いて同様に熱分解した場合はチタン酸バリウムナノ粒子の単相となった。また、チタン酸ストロンチウム用の新規前駆体(ナノシュウ酸塩)を用いた場合もチタン酸ストロンチウムナノ粒子の単相が得られた。