抄録
チタン酸バリウム(BaTiO3)に代表される強誘電体ナノ粒子は、表面での自発分極消失による常誘電相の生成と、表面と内部強誘電相との結晶構造の違いにより、その界面に構造傾斜相を持つ3相からなるメソ粒子構造を持つ。また、高い比誘電率を有する強誘電体ナノ粒子を作製するには、表面立方晶相厚さを限界まで薄くすることが必要である。しかしながら、メソ粒子構造は合成方法、合成条件に強く依存し、同じ粒子径であっても、上記3相の体積分率は大きく異なる。従って、表面立方晶相の厚さが極端に薄い最適な粒子構造を持つBaTiO3ナノ粒子を作製するためのパラメータを明らかにすることは重要である。本研究で、このパラメータについて検討を行ったところ、粒成長速度がこのパラメータの重要な1つとなることを見いだしたので報告する。