抄録
1mol%のZn2+, Ni2+, Mn2+,またはMg2+が添加されたY2O3を1100~1600℃の焼結温度で大気中において焼結し、様々な2価カチオン添加が及ぼすY2O3の焼結性への影響について系統に調査した。いずれのカチオン添加Y2O3においても無添加材に比べて焼結性の向上が認められ、その焼結性向上の効果はZn2+ > Ni2+ > Mn2+ > Mg2+の順に顕著であった。SEMによる組織観察では、第二相粒子は観察されず、1500℃で焼結したZn2+添加Y2O3を除き異常粒成長は観察されなかった。平均粒径はカチオン添加により増大し、例えば1300℃における平均粒径は無添加Y2O3で約0.3μmであったのに対してカチオン添加材では0.4~1.0μm程度まで増加した。HRTEMによる微細組織の観察およびナノプローブEDSによる分析から、添加カチオンは粒界アモルファス相または第二相粒子を形成せず、粒界に偏析することが分かった。