抄録
ゾル-ゲル法によってバルクセラミックスを合成する際の大きな課題は、湿潤
ゲルの乾燥に時間を要すること、およびその際に亀裂が生じやすいことである。
亀裂を抑制する方法はいくつか知られているが、それらは実行するのが難しい、
もしくはあまり使いやすいとはいえない、というのが現状である。ゆえに、ゾ
ル-ゲル法は、現在、高純度シリカガラスの高速合成が可能な気相合成法や、
純度は劣るものの多様な形状のシリカガラスを比較的安価に製造できる熔融法
に対する優位性が明確でなく、バルクシリカガラスの合成法としては関心が低
い。本講演では、これらの背景を踏まえ、4官能ケイ素アルコキシドをシリカ
源としたバルクシリカゲルおよびシリカガラス合成において、亀裂の発生を抑
え、かつ乾燥時間を短縮するため演者らが考案した手法について概説する。