抄録
アルファアルミナは高硬度、低い熱伝導率および優れた熱的・化学的安定性を有することから、切削工具へのコーティングとして広く用いられている。アルファアルミナ膜は通常熱CVD法により作製されているが、成膜速度が遅く、アルファ相単相を得るためには1300 K以上の高温が必要である。一方、本研究グループでは、高出力のNd:YAGレーザーを用いアルファアルミナ膜を高速かつ低温で合成できることを報告してきた。これは、レーザーの光励起的効果により原料の分解および基板上での成膜反応が促進されるためと考えられる。本研究では、より短い波長の半導体レーザーを用い、アルファアルミナ膜の結晶相、微細組織および成膜速度に及ぼす成膜条件の影響を調べた。