抄録
フェムト秒レーザーをガラスなどの透明固体材料内部に集光照射すると、クラックのない微細な構造変化を誘起できるので、精密加工ツールとして注目されている。我々は、フェムト秒レーザー集光照射後に大きな圧力波が発生することを観測しており、圧力波発生がfsレーザー加工とナノ秒レーザー加工の違いの原因であると考えている[1]。しかし、応力緩和の時定数から考えると数十ピコ秒の光励起の場合でもフェムト秒励起と同様の圧力波が発生すると予想されるため、フェムト秒とピコ秒の間には圧力波発生以外の違いがあると考えられる。本研究では、ガラス中での集光fsレーザー圧力波のパルス幅依存性を過渡レンズ法によって調べることにより、フェムト秒レーザーが固体の精密加工に適している理由の一つを見出したので報告する。