抄録
Li7La3Zr2O12はリチウムイオン導電性を有し、Li金属に対して安定であることから、固体リチウム電池への応用が期待できる物質である。これまでLi7La3Zr2O12は固相法による合成法が報告されているが、合成温度が1000℃以上の為、Liの蒸発による化学量論比からのズレが懸念される。そこで、本研究ではゾル・ゲル法を用いLi7La3Zr2O12の低温合成を目指した。出発原料にLiNO3, La(NO3)3・6H2O, ZrO(NO3)2・2H2Oを用い、クエン酸とエチレングリコールをそれぞれ出発原料の2倍モル量加え、蒸留水で完全に溶解させ、加熱しゲル化させた後、350℃・5Hr乾燥させて出発試料を作製した。その試料を800℃で20h焼成し正方晶のLi7La3Zr2O12を合成した。その試料を、TG-DTA測定で始め800℃まで昇温させた後、降温過程の450℃で20h保持すると、3%程の重量増加が確認された。 また、このTG-DTA測定後の試料はXRD結果より、立方晶のLi7La3Zr2O12であることが分かった。ガス分析の結果、Li7La3Zr2O12は450℃付近で空気中の二酸化炭素を吸収して正方晶から立方晶へ構造変化することが分かった。