抄録
ナノサイズの粒子をサブミクロンサイズの粒子に直接接合させることのできる機械的粒子複合化プロセスによりBaCO3粒子とTiO2ナノ粒子からなるナノ複合粒子を調製し、これを用いてBaTiO3ナノ粒子を合成することを目的とした。混合粉末のSEMによる微構造観察の結果、TiO2ナノ粒子の凝集体は観察されず、TiO2は良好に分散していることが確認された。また、機械的処理前後の粉末の構成相に変化は見られなかった。焼成後の試料のXRDによる構成相の同定の結果、700℃で焼成した試料は焼成前のものと同じ構成相であったが、800℃、30分保持の焼成ではBaCO3が少量残存しているものの、BaTiO3が主相であることが確認された(図1)。また、900℃、30分保持ではBaCO3はほぼ消失し、ほとんどがBaTiO3に変化していた。さらに、2=44~46度のピークを詳細に測定した結果、得られたBaTiO3は立方晶であることが示唆された。このピークから算出したBaTiO3の結晶子サイズは、800および900℃、30分保持の焼成で、それぞれ22および27nmであった。このように低温でBaTiO3ナノ粒子が合成されたのは、TiO2ナノ粒子の均一に分散に起因すると考えられる。