抄録
CaTiO3: Prは残光を示すことが知られている。今回、若狭湾エネルギー研究センターの太陽炉を使ってCaTiO3:Prを作製した。この試料についと電気炉で作製した多結晶体ペレットについて残光減衰曲線測定、熱ルミネッセンス測定を行った。熱ルミネッセンス測定結果からHoogenstraatenプロットを行い、トラップ深さを見積もった。残光減衰曲線測定から、太陽炉を用いて作製した試料は電気炉で作製した試料に比べ長い残光を示すことがわかった。また、太陽炉で作製した試料は大気中で熱処理することにより、さらに残光特性が向上することが見出された。太陽炉で作製した試料は108、134、172、230 K付近に熱ルミネッセンスピークが見られた。大気熱処理により、2つのピーク(108、172 K)が見られなくなった。これは、低温で開放されるトラップが熱処理によりなくなったためと考えられる。Hoogenstraatenプロットにより各試料のトラップ深さは0.2-0.6 eVと見積もられた。