抄録
耐侵食性に優れ、廃棄物溶融炉用内張りれんがとして使用されるクロム系耐火物に関し、その基礎として、組成や気孔率などの耐火物の特性が6価クロム化合物の生成に及ぼす影響を解明した。実験には、SPS法および電気炉で焼結させたクロム系焼結体を用い、侵食試験を行い、6価クロム生成と諸要因との関係を調べた。その結果、6価クロム化合物の生成量(水への溶出量)は耐火物の組成(Cr2O3含有量)に大きく影響をうけ、その他の条件は関与しないことが分かった。また、Cr2O3-Al2O3系とCr2O3との6価クロム溶出量を比較するとCr2O3からの6価クロム溶出量が多い事から、Cr2O3-Al2O3系材料では水への飽和溶解量が低いCa4Al6CrO16が生成しやすく、Cr2O3材料ではCaCrO4が生成しやすいと考えられる。