抄録
細菌類が合成する鉄やマンガンの酸化物では、酸化状態やナノスケールの形態が精密に制御されており、機能材料の合成の観点で興味深い。このようなバイオミネラリゼーションにおいては、有機分子による反応制御が重要である。我々は、このようなバイオミネラリゼーションの反応系を模倣し、多様な酸化状態とナノ構造を有する酸化物の合成に成功している。本講演では、水溶液プロセスにおいて、キレート能をもつ有機分子などを用い、さらにpHや温度条件をコントロールすることで、多様なマンガン酸化物、鉄酸化物、スズ酸化物を合成した研究例を示すとともに、それらのもつ機能の可能性について紹介する。