抄録
二酸化ケイ素組成をもつスティショバイト・ナノ多結晶焼結体を圧力15 GPa、温度1473 Kで合成した。この焼結体は、平均粒径200nm程度の粒状の結晶と、直径数十nm、長さ1000 nm未満の長柱状結晶の集合体である。出発物質には、棒状の二酸化ケイ素ガラスを使用し、合成は川井型高温高圧発生装置を用いて行った。ビッカース硬度測定を49-294 Nの荷重で行った結果、硬度28 GPa、破壊靱性13 MPa m1/2を得た。この破壊靱性は、もっとも割れにくい酸化物であるジルコニアセラミックスのそれと同等である。スティショバイト・ナノ多結晶焼結体は、高い硬度と超高靱性をあわせ持つ材料である。