抄録
燃料電池用固体電解質の中温(200~600℃)領域作動が求められるが、実用的な材料開発には至っていない。中温領域でプロトン伝導性を示す物質としてあげられるSnP2O7は200℃で10-2 Scm-1程度の非常に高いプロトン伝導性を示す。しかしながらこの物質は難焼結性であるため、ガスリークの問題からそのまま燃料電池用電解質として用いることは難しい。そこで我々はガラスの熱的・化学的耐久性および成形性の良さに注目した。本研究ではガラスの結晶化法を利用してSnP2O7をガラス中に単相析出させることで、高い成形性を有する新規プロトン伝導材料の作製と伝導性の組成依存について検討したのでここに報告する。