抄録
高齢化社会の到来を迎え,高齢個人の高いQOL維持が重要な臨床課題となる.硬組織である骨は体幹荷重を支え,人の歩行や運動に最も寄与している重要臓器である.転倒による四肢骨や脊椎骨の骨折は,高齢者が介護になる3大原因のうち,脳卒中,老衰に続き第3位であり,女性が寝たきりになる第1の原因である.従来,骨粗鬆症は骨量が減少し骨折しやすい状態と定義されていたが,近年では骨量より骨質が骨強度に大きな役割を演じていることが明らかになった.演者は高齢者の骨粗鬆症性脊椎骨折の治療に永年携わり,生体材料を用いた脊椎手術を数多く行ってきた.その臨床経験から,脊柱再建術の歴史を振り返り,バイオマテリアルの現状と将来必要とされるマテリアルへの期待について講演する.