抄録
SrTiO3単結晶基板上にBi0.5Na0.5TiO3粉体粒子の薄層をスピンコートにより形成し、1200℃程度の温度で加熱すると、SrTiO3基板とエピタキシャルの関係を有するBi0.5Na0.5TiO3単結晶薄膜ができる。また、粉体の薄層ではなく単一粒子を用いることにより、エピタキシャルの関係を有する単結晶ドットを作ることができる。これらはSrTiO3単結晶基板上でのBi0.5Na0.5TiO3粒子の固相濡れにより生じる。この手法をK0.5Na0.5NbO3に応用したところ、単結晶膜は形成されなかった。そこで、単結晶薄膜形成に及ぼす化学組成の影響を明らかにするためにSrTiO3基板上におけるCaTiO3、BaTiO3およびBi0.5Na0.5TiO3‐BaTiO3粒子の挙動を調べた。多くの場合では単結晶薄膜が形成されたが、Bi0.5Na0.5TiO3‐BaTiO3固溶体系ではBaTiO3濃度の増加により固相濡れが生じにくくなった。これらのデータを基にして、単結晶薄膜形成に影響を及ぼす因子を考察した