抄録
Liイオン二次電池正極材として利用されるLiMn2O4の結晶構造は、270 K~573 Kの温度範囲では空間群Fd-3mで最適化でき、Li、MnおよびOは各々単位胞中の8b、16c、32eサイトを占めた。240~270 Kで相変化が観察され、240 K以下の温度では結晶構造は斜方晶系へと相変化した。150~573 KにおけるLiの等方性原子変位パラメータは結晶構造によらず温度に比例して増加する傾向を示すが、相変態温度近傍~室温では異常値を取る。これが室温付近で観察されるLiの高イオン電導性の一因と考えられる。等方性原子変位パラメータが異常値をとった室温における110面の原子核密度分布は、拡散経路を示唆する8b、16e、8bサイトを結ぶ広がりとして観察された。