抄録
近年、酸素イオン伝導体として酸素欠損の生成によって高い導電性を示す物質の他に、過剰酸素を取り込む酸化物が広く研究されている。そこで、本研究は格子間に酸素を導入しやすい層状ペロブスカイト型構造RE1+xSr1-XGaO4+δとメルライト構造RE1+xSr1-XGa3O7+δ(RE=希土類, x=0,0.1,0.2,0.3)に着目し、各々において導電特性と結晶構造・電子構造の関係について検討した。その結果、Pr1+xSr1-XGa3O7+δではPrをSrサイトに置換することで導電率は上昇した。さらに、角度分散型粉末中性子回折データを用いたRietveld・MEM解析を行った結果、4eサイトに格子間酸素が存在することがわかり、これが過剰酸素として導電特性に影響を与えたと考えられる。