抄録
微小圧子を用いたミクロ/ナノ領域における力学物性評価の歴史、現状、課題を総括する。1980年代に体系化された圧子亀裂を用いた破壊靱性値評価は多くの課題を残しながらもその簡便性のため広く用いられ、国際的な標準化も進みつつある。線形破壊力学の範疇におけるその位置付けについて詳述する。一方、1990年代に入ると高性能圧子圧入ナノ計測装置が開発され、微小領域における弾性、塑性、粘弾性諸物性の計測、解析理論に関する研究に著しい発展が見られた。圧子直下に誘起される複雑な応力歪場を考慮に入れた上での力学物性定量について、その成果と課題を整理する。