抄録
移動体通信向け基地局フィルタは小型・高性能・低コスト化が望まれ、材料面では高εr・低損失材料、デバイス面ではTMモード誘電体共振器フィルタが期待されている。誘電体材料の誘電特性は、形状・寸法の影響を受け、更に周波数依存性を持つ。特性評価は使用する形状、周波数、共振モードで行う事が好ましい。従来のキャビティ法は冶具と試料との接地面に空気層が含まれると損失の測定が不安定となる。この影響を取り除いた測定法として、カットオフ円筒導波管、或は平行導体板を用いたTM01δモード誘電体共振器の厳密な電磁界解析に基づく高精度測定法に着目した。本報告では、カットオフ円筒導波管法及び平行導体板法が、両端短絡形共振器法(JIS R 6127)より求めたεr、tanδとの比較から、TMモード向け高εr・低損失誘電体材料の複素誘電率を簡便に評価する手法として有効である事を明らかとした。