抄録
ペロブスカイト型PbTiO3は室温にてP4mm構造をとり,大きなc/a比(c/a=1.06)により大きな自発分極を発現し,PZTなどの強誘電体材料の端成分として広く用いられている.PZTの大きな圧電性の原因については,MPB付近での低対称性相の存在による分極回転など諸説あり未だ完全には解明されていないが,端成分であるPbTiO3の大きな自発分極が重要な役割を担っていると考えられている.PZTを超える圧電材料の開発のためには,より大きなc/a比を有する物質の創製が有効であると考えられている.近年このPbTiO3にBiFeO3を固溶させることにより,巨大なc/a比(c/a=1.19)が実現することが報告されている.本研究では,この巨大なc/a比のメカニズムの解明を目的として第一原理計算による解析を実施した.