抄録
研究目的はO3型構造のマンガン酸リチウムのチタン置換体を合成して、スピネル型への相転移の抑制かつ高容量を実現することである。前駆体NaxMn1-yTiyO2 (0.5 ≤ x ≤ 1.0; 0 ≤ y ≤ 0.49)の合成を500℃、12時間の焼成で行った。リチウムイオン交換は、エタノール中で80℃、6時間で実施した。粉末XRDの結果、全試料がO3型構造とほぼ一致した。チタンの固溶範囲は0 < y < 0.49と特定された。ICP-AES化学分析の結果、リチウムは約0.5 apfuであった。SEM観察の結果、300 nm程度の六角板状粒子であった。充放電試験の結果、y = 0の時、最も高容量で、チタンの増加と共に容量が減少するが、スピネル型への相転移は抑制され、O3型構造を維持するのにチタンが有効であることが明らかとなった。