抄録
地球温暖化の原因とされるCO2の排出削減や環境規制等に対する技術への関心が一層高まっている。自動車においては、ガソリンエンジンに比べて燃料の動力変換効率が高いディーゼルエンジンがCO2排出削減の有効な手段として注目されている。しかしながら、ディーゼルの薄燃焼条件では燃焼温度や圧力の上昇に伴い大量の窒素酸化物(NOx)を排出するため、実用的に空燃比を大きくした高効率運転は難しい。NOxは、光化学スモッグや酸性雨の原因としてだけではなく人体へ直接的な健康被害を与えるため、世界的に環境排出基準が年々強化されている。近年開発されている高効率エンジンの高濃度共存酸素を含む排ガスでは、従来の三元触媒が十分に機能しないために、新たな触媒が開発されているが更なる規制強化への対応、小型化や二次的な汚染物質の排出が問題となっている。我々は、触媒に変わる新たな技術の一つとして、ガス浄化のニアゼロエミッション化に理想的な電気化学反応を利用したNOx浄化リアクター等についての検討を行っている。本発表では、従来、不可能と考えられていた高濃度酸素共存下における選択的なNOx浄化を実現した電気化学リアクターの電極開発の過程と今後の研究課題等について紹介する。