抄録
カーボンナノチューブ(CNTs)は高弾性,高強度および高アスペクト比を有するため強化繊維として有望とされている。そのCNTsの一種としてカップを積み重ねた構造のカップスタック型カーボンナファイバー(CSCNFs)が知られている。しかし、CSCNFsをセラミックスと複合化した例はない。そこで、本研究では、分散性を高めるためにジェットミル処理したCSCNFSとアパタイトを複合化し、その焼結挙動と機械的性質を検討した。
真空焼成した複合体の相対密度は97%に達した。XRD分析より950℃以上でβ-TCPの小さなピークが現れ、一部のHAPが分解したことがわかった。しかし、1150℃まで温度が高くなってもβ-TCPの回折ピーク強度はほとんど変化しなかった。1150℃で真空焼成した複合体の破断面のSEM観察より、CSCNFは複合体中に均一に分散混合されていることが確認できた。研磨面では微細な気孔が観察されたが、緻密化した状態であることがわかった。しかし、破断面において多層CNFsの場合と比べると、引き抜かれているCSCNFsの長さが短く、複合体の破断の際にCSCNFsは切断しやすいことが推測された。