抄録
【緒言】NaNbO3は、その(Na,K)NbO3をはじめとする固溶体が非鉛系圧電材料として広く研究されている反強誘電体物質である。またその単結晶は温度とともに7つの相に変化することが知られている。2005年に白鳥らは、この物質が温度のみならずその粒子サイズによって異なる相に変化することを報告している[1]。彼らによると、室温において粒子サイズがサブミクロン(200-400nm)に減少すると、その結晶の空間群はPbcmからPmc21に変化する。しかしながらこの構造変化のメカニズムや、更にサブミクロン粒子の結晶構造の温度変化に関しては明らかになっていない点が多い。本研究では異なるサイズのNaNbO3粒子を作成し、結晶構造及びその温度変化を調べた。
【実験手法】本研究での試料作成方法は以下の通りである。
金属ニオブ粉末をアンモニア液性過酸化水素水(30%)に溶解させる。そのままでは水酸化ニオブとして沈殿してしまうため、錯形成剤としてクエン酸を加える。この錯体の水溶液に炭酸ナトリウムを溶かし、蒸発乾固させることで黒色の前駆体が得られる。最終的に前駆体を電気炉で5時間焼成することでNaNbO3を合成した。得られたNaNbO3試料をXRD及びSEMを用いて評価した。温度による結晶構造の変化はDSCにより測定した。
【結果と考察】焼成温度1000℃の試料のSEM像と800℃の試料のXRDパターン及びSEM像を示す。1000℃焼成試料の結晶粒径は数μmで空間群はバルクと同じPbcmであった。800℃焼成試料の粒径は300~500nmで、空間群はPmc21であった。この結果は白鳥らの報告を裏付けるものである。講演では、DSCによる結晶構造の変化についても報告する。