抄録
近年,複数の異なるアニオンをもつ複合遷移金属酸化物が固体化学・固体物理双方から注目を集めている.本講演では,同様の低温フッ素化反応を用いることによって,Ruddlessden-Popper型層状ペロフスカイトSr3Fe2O6Fの合成に成功し,構造および磁気特性を調べたので,それらの結果について報告する.構造解析はシンクロトロン,及び中性子回折のデータを用いて行った.また,SQUID磁束計によって磁化率の温度依存を調べた.Sr3Fe2O6Fの構造は正方晶のI4/mmmで表され,フッ素は鉄中心の八面体の頂点サイトを酸素と50%の確率で選択的に占有することがわかった.