抄録
無機結晶中における欠陥の存在は物性に甚大な影響を与える一方、欠陥の積極的導入/制御による結晶材料の誘電特性向上や新光機能発現が報告されている。これまでにTakahashiらはワイドギャップ酸化物半導体であるwillemite型Zn2GeO4が析出した透明ナノ結晶化ガラスの創製に成功し、結晶化によるwillemite相への格子間亜鉛欠陥の選択的導入を確認している。この過剰欠陥の生成機構は結晶化の前駆段階と密接に関連すると思われるが、これら詳細については未だ不明である。そこで本研究では、非弾性光散乱のin-situ観測および透過型電子顕微鏡によりLi2O-ZnO-GeO2系ガラスの結晶化前駆段階について調査し、ガラス/過冷却液体の微視的構造とwillemite相への亜鉛欠陥導入との関連について議論することを目的とする。