抄録
近年、環境負荷低減の観点から鉛を含むPZT系に代わる非鉛系強誘電体材料として、本研究では、BNTにNaNbO3固溶(NN)、NaTaO3固溶(NT)、さらにNaNbO3, NaNbO3を固溶した試料 (NNT)に着目した。これらの試料について強誘電特性について検討した結果、NN, NT, NNTで強誘電特性がみられたので結晶構造解析を行った。中性子回折からは、NN, NNTでは八面体の歪が増加し、NTでは八面体の歪が減少する傾向が見られた。MEMによる電子密度分布解析より、NNではBNTと同様にTiO6八面体のそれぞれのTi-O結合の共有結合性に異方性が見られ変化が見られなかったが、NTでは共有結合性の強さが等方的になった。これによりNTでは八面体の歪が減少することで、強誘電特性に変化が見られたと考えられる。