抄録
東日本大震災において,最も津波の被害が甚大であった地域の一つである南三陸町で,当初から現在に至るまで歯科医療に携わってきた個人的経験を基に記述した.震災時南三陸町の医,歯,薬の医療機関は全壊し機能停止状態に陥った.そこで地元の活動可能な歯科医師を中心に歯科医療チームを立ち上げ,全く経験の無い状況下で災害時歯科医療の実践や地域歯科医療再建に悪戦苦闘した.今回はその活動の中から以下の4項目を中心に考察した.
1)初期動作
2)長期支援可能な歯科医療チームの選択
3)物資の搬入
4)歯科医療に対する患者ニーズの経時的変化
これより,急性期およびそれ以降の歯科医療の問題点の検証を行った.