抄録
酸化物イオン導電体であるケイ酸希土類オキシアパタイトの単結晶を、フラックス法を用いて合成しようと試みた。X線回折の結果、Nd2O3を用いて合成した際には塩素アパタイトが得られ、La2O3、Pr2O3を用いて合成した際には酸化物イオンと塩素イオンの両方を含む六方晶系のO-Clアパタイトが得られた。これら構造を比較すると、オキシアパタイトと塩素アパタイトでは酸素イオンと塩素イオンの位置が大きく異なっていた。酸素は希土類がつくる正三角形の重心位置を占めるのに対し、塩素は酸素に比べてイオン半径が大きく原子価が小さいので、希土類とアルカリ土類がつくるふたつの正三角形の中間に位置する。より大きなイオン半径をもつ希土類の場合には,正三角形の中心にOが来ることが許される可能性が高い。