抄録
本研究では、エピタキシャルPbTiO3膜における膜厚増加による残留歪緩和機構の調査を行った。透過型電子顕微鏡(TEM, Transmission Electron Microscopy)を用いて350nmおよび1000nmの膜厚を有する2種類のPbTiO3膜の微細組織を観察・解析し、両者の比較を行った。その結果、膜厚の増加に伴い膜内に積層欠陥が形成されることが明らかになった。これらの積層欠陥面は(001)面に平行であった。また、膜厚1000nmの膜の高分解能電子顕微鏡(HRTEM, High-resolution TEM)観察から90°ドメイン境界近傍に積層欠陥の存在しない領域が存在することが分かった。
以上の結果から、膜厚の増加に伴い積層欠陥が形成され、膜の残留歪を緩和していることが示された。