抄録
放電プラズマ焼結 (SPS) 法を用いて透光性Y2O3焼結体を作製し、焼結温度がY2O3焼結体の焼結密度、微細構造および光学特性に与える影響について調べた。焼結温度1473から1923 Kで作製したY2O3焼結体は、いずれも立方晶であり、相対密度は99%以上であった。一方、焼結温度を1373から1823 Kへと増加させると、焼結体の結晶粒径は0.2から2.3 μmへとゆるやかに増大したが、焼結温度1873 K以上では異常粒成長が認められ、1923 Kでは粒径が100 μm程度まで成長した。焼結温度1473から1823 Kで作製したY2O3焼結体には透光性が認められたが、異常粒成長が観察された焼結温度1873から1923 Kで作製した焼結体は不透明であった。大気中1323 K、21.6 ksの熱処理により、透光性は向上した。特に、焼結温度1573 Kで作製したY2O3焼結体の熱処理後の透明度は、550 nmで55%、2000 nmで82%と最も高い値を示した。