抄録
マイクロアーク酸化(MAO)処理とは金属の陽極酸化の一種であり,金属表面に多孔質均一酸化皮膜を形成する方法である.近年,医療用金属材料の表面改質法として注目され,チタンにMAO処理を施しチタニアコーティング膜を作製することでの骨結合能の向上が報告されている.一方,演者らはバイオセラミックスに準安定的なイオン分極状態を作り出すことに成功し,この分極処理を施した材料の生体親和性が向上することを報告した.しかし,チタニアコーティング膜に分極処理を施した報告例はこれまでにない.そこで,本研究では分極処理を施したチタニアコーティング膜の電気的特性および分極が材料の物性に与える効果についての検討を行った.