抄録
ジルコニアは、高強度で審美性に優れているため、チタンに替わる歯科材料として期待されている。しかしジルコニアは生体不活性であるため、場合によってはその表面の改質が求められる。
これまでに、ジルコニア表面にポリ-L-乳酸(PLLA)膜をコーティングし、バテライト粒子を埋め込むことで炭酸含有水酸アパタイト形成能を付与することに成功した。したがって、ジルコニア基板への生体活性の付与が期待される。しかし、PLLAの影響により高い親水性が得られない。
イモゴライトは、ナノサイズのチューブ構造を持つアルミノケイ酸塩である。その表面には水酸基が多く存在し、高い親水性や細胞・タンパクに対する優れた吸着能を有する。したがって、PLLA系複合膜表面にイモゴライトを接着できれば、高い親水性が期待される。
本研究では、PLLA系複合膜をコーティングしたジルコニア基板表面にイモゴライトを接着し、細胞の初期接着挙動を調査した。