小児歯科学雑誌
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総説
小児歯科における医療安全管理と院内感染対策
藤原 卓
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2010 年 48 巻 3 号 p. 367-373

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抄録

ヒューマンエラーは人間の本来持っている特性と,人間を取り巻く広義の環境がうまく合致していないために引き起こされるものと定義される。現在のリスクマネージメントにおいては,ヒューマンエラーはゼロにはできないので,医療事故は必ず発生するということが基本となっている。またヒューマンエラーだけでなく,構造的な危険(リスク)もゼロにすることは不可能で,安全とは受け入れがたいリスクが無いことと定義される。したがってリスクマネージメントに加え,医療事故が発生した後の対策としてのクライシスマネージメントが重要になる。小児歯科の医療従事者は,パルスオキシメーターなどのモニター機器を活用するとともに,救急蘇生術を習得しておく必要がある。AHA のBLS ヘルスケアプロバイダーや二次救命としてのPALS コースがそれに適している。院内感染対策は標準予防策が基本となる。血液を媒介とする肝炎やヒト免疫不全ウイルス感染症について,その感染確率や予防法,治療法について知っておく必要がある。麻疹,水痘,流行性耳下腺炎,風疹などの小児期によくみられるウイルス感染症対策も重要で,医療従事者は抗体価測定とその結果に基づくワクチン接種が必要である。

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© 2010 日本小児歯科学会
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