抄録
酒石酸を添加したホウ酸‐グリセリン縮合物を大気中で熱分解して得られた前駆体からの炭素熱還元反応を用いた炭化ホウ素粉末の合成における前駆体構造の影響を調査した。前駆体は炭素と酸化ホウ素がミクロレベルで分散した共連続構造をしており、酒石酸を添加することでより分散した前駆体が得られた。酒石酸添加量ごとに炭素熱還元反応式に基づく炭素と酸化ホウ素の比である3.5になるよう最適な熱分解条件を検討した。Arガス流通下、1250℃で焼成したところ、酒石酸無添加の場合に比べ酒石酸をグリセリンに対して25mol%添加した場合のほうがより短時間の合成時間で炭化ホウ素の生成が進行した。前駆体構造がより微細になったことが合成時間の短時間化の要因であると考えられる。