抄録
熱輻射エネルギーの出入りは材料の放射率と吸収率により決まるため、Al2O3の色を制御して黒くすることができれば、従来の白色Al2O3に比べて加熱や冷却が容易な材料となる可能性がある。このような目的から、800-1000℃の高温大気中で、可視から近赤外の波長領域における高い光吸収率をもつ黒色Al2O3を作製した。これまでに、黒色Al2O3が白色Al2O3と異なる加熱挙動を示すことを確認した。しかし、黒色Al2O3の放射率を定量的に求め、放射率が加熱挙動に及ぼす影響を調べる研究は行われていない。材料厚さと加熱挙動との関係は、白色Al2O3と異なると考えられる。そこで本研究では、厚さの異なる黒色及び白色Al2O3の加熱挙動を調べることを目的とした。