抄録
我々は、粘土を主原料とした耐水性、耐熱性、柔軟性に優れた新規透明膜の開発を行っている。前回我々は、市販の合成スメクタイト層間のナトリウムイオンを、耐熱性の高いテトラフェニルホスホニウムイオンで交換した高耐熱有機化粘土により、新たな透明自立膜の作製を行った。作製した透明自立膜は300℃以上の耐熱性と、可視光透過度が>80%の透明性、直径4mmに曲げることが可能な柔軟性、耐水性を有していた。また、2種類の合成スメクタイト混合物を原料として透明性の異なる膜が作製できた。しかし、特性の差異を与える要因は明確ではなかった。
本研究では、2種類の合成粘土を原料とし、これをテトラフェニルホスホニウムイオンでイオン交換した高耐熱有機化粘土から作製した自立膜の特性のうち、特に透明性、柔軟性に影響する要因の解明を目的とし、各種機器分析を用い膜特性の検討を行った。