抄録
スズ酸バリウムBaSnO3をベースとして、元素置換により作製したN型の(Ba,Sr)1-xLaxSnO3(x=0.002~0.070)及びP型のBaSn1-xCoxO3(x=0.03~0.15)セラミックスについて、370~1070Kの高温で熱電特性を調べた。N型のBa1-xLaxSnO3セラミックスはいずれも縮退半導体的特性を示した。出力因子はBa0.995La0.005SnO3セラミックで最高となり、1070Kで4.3×10-4Wm-1K-2の値を示した。このセラミックの1070Kでの熱伝導率は4.7Wm-1K-1と評価され、1070Kでの無次元性能指数は約0.1であった。また、Baに対するSrの置換は電子移動度を減少させ、出力因子を系統的に低下させた。P型セラミックスはいずれも熱活性化型の半導体的特性を示し、Coイオン間での正孔ホッピングが示唆された。出力因子のCo濃度依存性はほとんどみられず、いずれのセラミックスも3×10-7Wm-1K-2以下の値を示した。