抄録
近年、エネルギー枯渇の問題が深刻化しており、このエネルギー問題を解決する材料として熱電材料が注目されている。しかしながら、我々の生活や産業社会において熱電材料の普及は進んでいない。熱電材料の普及には無害かつ安価で高性能であることが必要不可欠である。我々の研究室では、環境負荷が少なく、比較的安価で入手し易いTiO2とCo3O4に注目した。本研究では、TiO2へのCo(II価、III価)添加効果により高い導電性を得て、熱電特性の向上をはかることを目的とした。本材料では低温領域(<660℃)ではn型伝導を示し、高温領域ではp型伝導を示すことが明らかになった。これは温度増加に伴い、支配的なキャリアが電子から酸素空孔に変化することを示している。