抄録
圧電材料は交流電界を印加し繰り返し使用させると圧電特性が劣化することが報告されている。しかしながら,この電気疲労現象のメカニズムについては未だ十分明らかになっていない。圧電特性は強誘電ドメイン構造に強く依存することから,本研究では,圧電応答顕微鏡を用いて電気疲労されたNb系非鉛圧電セラミックスのドメイン構造を観察し,圧電材料の電気疲労劣化と強誘電ドメイン構造の変化との関連について検討した。
圧電応答顕微鏡観察により,電気疲労によって分極ロスが起こることが確認された。また,疲労回数の増加にともないドメインサイズ及び180°ドメイン壁の割合が増加していた。このような電気疲労にともなうドメイン構造の変化が圧電特性の電気疲労劣化の原因であると考えられる。