抄録
癌の新しい治療法として交流磁場焼灼療法が注目されており、交流磁場中での優れた発熱特性を持つ磁性材料が期待されている。我々はこれまでにフェリ磁性体であるY3Fe5O12系フェライトが優れた発熱特性を持つことを報告した。しかし、この希土類鉄ガーネットR3Fe5O12では、R=Sm,Gdなどのランタノイドの方が大きい磁気モーメントを有しているためより大きい発熱特性が期待できる。今回、様々な希土類元素(R=Y,Sm,Gd,Dy,Ho,Er)についてのフェライトを逆共沈法により作製し、さらにこれらの試料をビーズミル粉砕し交流磁場中での発熱特性の検討を行った。
その結果、最も発熱したのはY3Fe5O12であり、RがY>Sm>Er>Hoの順であった。またGd,Dyは発熱能力を示さなかった。これらの発熱特性は、粉砕前のフェリ磁性体としての特性に酷似していた。従って、交流磁場中での発熱能力には希土類元素による磁気モーメントの影響以外の因子が存在すると考えられる。