抄録
Fe3+やCu2+などの3d軌道に電子を有する遷移金属イオンを含有する酸化物ガラスにおいて、電気・磁気特性に関する研究が多く報告されている。その一方で、遷移金属イオンを主成分とするガラスの結晶化挙動に関する報告は少ない。Feイオンから成る結晶はd電子およびFe配位多面体に起因した興味深い物性を示すものがある。例えば、マルチフェロイック物質であるペロブスカイト型BiFeO3などが存在する。そこで本研究では、ガラス中に多量に包含可能なBi2O3と典型的なガラス形成酸化物であるP2O5もしくはB2O3を選択し、これにFe2O3を添加した三成分系ガラスの結晶化挙動の調査を行った。