抄録
本研究では、構造部材として最も多く用いられる金属材料の動的塑性不安定現象の全視野可視化への応用を展開している。金属においては塑性不安定が多く見られ、その中に、加える単軸引張り力を連続的に増加させる時に力の方向と60°ぐらい角度を持っている局部的な変形バンドが何度も伝播するという現象をPortevin-Le Chatelier 効果(PLC効果)として知られている。PLC効果は微視的に溶質原子と可動転位の動的歪時効による現象であると考えられているが、詳しいメカニズムはまだ解明されていない。応力発光技術は動的な力学現象をリアルタイムに可視化することができ、PLCバンドの発生、伝播方向、伝播速度など詳細な動的挙動の可視化に成功した。