抄録
応力発光(Mechanoluminescence: ML)とは、引っ張り、圧縮、ねじ
れ、摩擦、衝撃などの外部からの機械的な力に応答して繰り返し発
光する現象のことである。応力発光強度は、歪みや歪み速度と一定
の相間関係にあるため、構造物等における応力分布を把握するため
のセンシング材料としての利用が期待されている。
最近、張らは白色LED 用蛍光体として注目されているSr2SiO4:Eu
が弱いML を示し、また、Dy を共添加することにより、強い応力
発光を示すことを新たに発見した。Sr2SiO4:Eu,Dy のML 強度は
Sr2SiO4 の結晶相に強く依存し、β相が存在するときML 強度が高
く、β相がML に寄与しているのではないかと考えられる。
本研究では、Sr2SiO4 の応力発光特性を報告するとともに、母体
のSr サイトをCa などの他元素で置換することにより、結晶相を制
御し、Sr2SiO4 の結晶相とML 特性との関係を系統的に調べた。