抄録
バイオミネラリゼーションにおいて、どの段階で何が無機物の結晶相やモルフォロジーを決定しているかは、結晶学的にも非常に興味深い。事実、骨形成においてハイドロキシアパタイト(HAp) がコラーゲンファイバーに沿って形成されるように、バイオミネラリゼーションプロセスは無機構造を自在に制御する可能性を秘めている。我々はこれまでに、β-シートペプチド単分子膜上でのリン酸カルシウムのミネラリゼーションを通して有機・無機界面におけるエピタキシャルな関係性を調査してきた。β-シートペプチドはアミノ酸側鎖の官能基が 2 次元平面で規則正しく配列している。 今回はHAp の a 面及び c 面のカルシウム原子の位置に対応するように、カルボキシル基を配置した二種類のペプチドを新規設計し、 リン酸カルシウムのミネラリゼーションにおいて、形成した結晶相や結晶方位と対応するかを検証した。