抄録
材料から溶出するカルシウムやシリケートイオンのような無機イオン種は、骨形成を促進することが報告されている。これらの無機イオンから構成されるケイ酸カルシウムは骨修復材料として期待できる。一方、ケイ酸カルシウムはその溶解によりpHが変動し炎症作用を引き起こす恐れがある。トバモライトのシリケート層中には、交換性陽イオンであるカルシウムイオンが存在するため、イオンを導入するナノサイトとして働くことが期待できる。リン酸イオンは緩衝作用を持ち、かつ、骨形成に重要な役割を担う。本研究では、細胞を活性化する無機イオン種を長期的に徐放し、かつ、アルカリ度の上昇を抑制するために、リン酸イオン種を導入したトバモライトを合成した。