抄録
ケイ酸イオンやカルシウムイオンは、骨芽細胞を遺伝子的に活性化し、骨形成を促進することが報告されている。これらの無機イオンを骨欠損部にデリバリーするマトリックスとして、ケイ酸カルシウムは期待される。さらに、骨形成の促進に寄与するタンパク質を担持させることができれば、材料からの働きかけにより、積極的に骨形成させることが可能となる。組成・構造の異なるケイ酸カルシウムであるトバモライト、ゾノトライト、ウォラストナイトを用い、そのタンパク質吸着および触媒活性の評価を行った。ケイ酸カルシウム水和物は、骨形成に関与する多くの増殖因子である塩基性タンパク質の活性を低下させず、ドラッグデリバリーに有用な材料であると考えられる。