抄録
希土類ニッケル酸の一種であるSmNiO3は低温で絶縁体的、高温で金属的な性質へ変化する。この性質を利用して、SmNiO3を薄膜として作製することにより、近赤外線領域の光に対して、温度により透過率を制御する機能を持った薄膜の作製が可能となる。本研究では水溶液法を用いて石英基板上、およびシード層(スピンコートにより1層成膜し、750ºCで結晶化)上にSmNiO3薄膜の作製を行い、得られた薄膜の結晶構造、および光学的性質を評価した。シード層上に成長させたSmNiO3薄膜は、近赤外線領域の光に対して透過率に温度依存性を示し、温度の上昇により透過率は減少する傾向を示した。