抄録
本研究では、静磁場印加電磁浮遊法を用いた擬似的な微小重力環境下で、過冷却融液からの凝固により、Bをドープしたp型Si-Ge熱電材料を作製し、過冷却融液からの凝固で得られる組織が熱電性能に与える影響を考察した。低い過冷却度(ΔT=77K)でトリガーを与えて凝固させた試料において、組織の伸長方向に異方性が見られた。また、この試料は結晶面の配向性をもち、<211>配向、及び<111>配向が、凝固方向に対し水平、及び垂直方向の切断面でそれぞれ確認された。<211>配向方向に対する測定結果では、低い熱伝導率と高い電気伝導率を示すことがわかった。これより算出された無次元性能指数ZTは1000KでZT=0.704を示し、従来のp型Si-Ge(1000KでZT=0.478)よりも高い熱電性能を示すことがわかった。